〒565-0816 大阪府吹田市長野東7-24 グランドセンター千里丘2階
06-6318-9771

小児皮膚科

Medical

お子様の肌は皮脂分泌が少なく、非常にデリケートで乾燥しやすいため、湿疹や皮膚炎を発症しやすい状態にあります。また、大人に比べて免疫も未熟なため、さまざまな感染症にもかかりやすいとされています。

適切な治療とスキンケアで皮膚の状態を改善していくことができます。

当院では、お子様の皮膚のトラブルにも細やかに対応させていただきますのでお気軽にご相談ください。

小児皮膚科で取り扱う主な疾患

乳児は、ホルモンの影響もあって皮脂が過剰に分泌される傾向にあります。この皮脂が過剰に分泌されることによって起こる皮膚トラブルが、乳児湿疹です。症状としては頬、額、耳の周囲、頭などに、赤み、ブツブツ、黄色っぽいフケなどが現れます。生後1ヶ月~半年の時期は皮脂分泌が亢進するため発症しやすく、この時期を過ぎると自然に治まっていきます。

便や尿によって皮膚が刺激を受け、炎症を起こした状態をおむつかぶれと言います。おしりふきに伴う摩擦などの刺激も加わり、おむつが当たる部位に赤いブツブツやただれが見られるようになります。

おむつかぶれを予防するには、日頃から清潔にし、乾かしておくことが大切です。おむつはこまめに替えましょう。治療としては亜鉛華軟膏やワセリンなど皮膚保護剤を塗ります。症状がひどい時はステロイド外用剤を短期間使用します。

また、おむつかぶれに似た症状として真菌(カンジダ)による感染症があります。

①乳児のアトピー性皮膚炎

生後数ヶ月から湿疹がみられますが、湿疹は頭部、顔面だけでなく、体や手足に広がっていきます。時に脂漏性皮膚炎との鑑別が難しいことがあります。2ヶ月以上湿疹症状が続き、アトピー素因(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎の家族歴やアレルギーを起こしやすい素因)があれば、アトピー性皮膚炎の可能性が高くなります。

②小児のアトピー性皮膚炎

全身の乾燥肌と、繰り返す湿疹症状(小児期では額や目の周り、くびや肘·膝裏など関節部位に症状が出やすい傾向にあります)が特徴です。生まれつき皮膚のバリア機能が弱くアトピー素因がある人に、日常の様々な刺激が原因となって湿疹が生じます。

治療は、ステロイド外用剤、免疫抑制剤外用、保湿剤、抗ヒスタミン剤の内服などを行います。慢性疾患ですが、医師の指導のもと、適切な治療、スキンケアを継続することで良い状態を保つことが可能です。

汗疹(あせも)とは、汗をたくさんかいた後に、皮膚に細かい水ぶくれやブツブツが現れる皮膚トラブルで、汗をかきやすい夏に多く、小児に発症しやすい疾患です。汗疹自体は、ほぼ無症状で自然治癒するのですが、炎症を起こして湿疹化してしまうことも多くみられます。湿疹化した場合はステロイド外用剤を用います。掻いて悪化している場合は、抗ヒスタミン剤内服も用います。

とびひは、ブドウ球菌が原因で水ぶくれができやすいタイプと、溶血性連鎖球菌(溶連菌)が原因でかさぶたが厚くついて炎症が強いタイプがあります。ブドウ球菌タイプは、乳幼児·小児に、夏季に好発します。あせも·虫刺され·湿疹などをひっかいたり、転んでできたすり傷が化膿して、とびひになります。鼻孔の入り口には様々な細菌が常在しているため、幼児·小児で鼻をいじるくせがあると、鼻の周囲からとびひが始まったり、その手であせもや虫刺されなどをいじることでとびひになります。まず先にできていた傷が腫れたり、赤い斑点やぽつぽつの丘疹が生じ、そこに水疱ができて、つぶれてびらんになります。溶連菌タイプは、季節には余り関係なく、しばしばアトピー性皮膚炎に合併します。比較的急速に発症し、紅斑、膿疱、かさぶたを伴います。発熱、リンパ節腫脹、時に咽頭痛などの全身症状を呈することもあります。

治療は、抗生物質の内服と抗生剤含有軟膏を使用します。また、シャワーなどで患部を清潔にし、ガーゼなどで保護して掻破を予防します。かゆみを伴うことが多いので抗ヒスタミン剤の内服を併用することもあります。

小さなお子様では、虫刺されに対するアレルギー反応が強く出ることがあり、赤く腫れたり水ぶくれを生じることがあります。

また、虫刺されの部位を掻き壊してとびひになってしまったり、痒疹と呼ばれるかゆみのあるしこりができてしまうことがありますので、ひどい虫刺されやなかなか治らない場合は早めに受診してください。治療は、ステロイド外用剤を短期間使用します。腫れやかゆみが強ければ抗ヒスタミン剤を内服します。

いぼは、ヒトパピローマウイルスの感染により生じます。治療は、主に液体窒素療法で行います。いぼは治りにくく、複数回の治療が必要となることが多いので、根気よく治療を続け、一緒に完治を目指しましょう。いぼもみずいぼもお子様に多い皮膚病で、どちらもウイルス感染でできる点は似ていますが、原因となるウイルスが違います。

伝染性軟属腫ウイルスが原因で、体などに発症する表面に光沢のある小さなできものです。幼児から小学校低学年に多く、集団生活やプールで感染することが多いと言われています。本来はかゆみや痛みなどの症状はないのですが、みずいぼの周囲には湿疹を生じていることが多く、引っ掻くことでみずいぼも増えてしまいます。みずいぼは放置してもいずれは自然に消退していくのですが、感染力が強いことと、みずいぼの周りにできる湿疹が痒くて引っ掻いて広がってしまったり、とびひを引き起こしたりすることもあるので除去することが多いです。当院では、専用のピンセットで一つずつ摘除していきます。痛みを伴う治療なので、麻酔テープを使用して行うことが多いです。

水痘(水ぼうそう)

水痘·帯状疱疹ウイルスに感染することで発症します。2週間ほどの潜伏期間の後、37~38℃台の発熱とともにかゆみのある小さな赤い丘疹が全身に出現します。やがて発疹は水疱となってかさぶたを形成してきます。ここまでの期間は約1週間ほどで、すべての水疱がかさぶたになれば、登園·登校可能です。治療は、抗ウイルス薬の内服を行います。

麻疹(はしか)

麻疹ウイルスが病原体で飛沫感染によって感染します。約2週間の潜伏期間を経て、発熱(38~39度)、鼻水、せき、のどの痛みなどが見られるようになり、その後3日ほど経過していったん解熱するも、再度高熱とともに皮疹が出現します。頬の裏側となる口内の粘膜にコプリック斑という白いブツブツしたものがみられるようになります。そして赤い斑が顔や首から全身に広がっていきます。5日ほど続いた後、発疹は色素沈着を残して消退します。解熱剤、咳止めなど対症療法が中心となります。

風疹(三日ばしか)

風疹ウイルスの感染症で飛沫感染によって感染します。2~3週間の潜伏期間を経た後、軽度の発熱とともに全身に赤い小丘疹、頸部耳部リンパ節腫脹がみられます。症状は3~5日ほどで色素沈着を残さずに消失します。妊娠して間もない妊婦が発症し胎児に感染すると、生まれてくるお子様に先天性白内障、心機能の異常、難聴といった障害(先天性風疹症候群)が生じる可能性があります。そのため、妊婦さんへの感染には注意が必要です。

突発性発疹

ヒトヘルペスウイルス6型もしくは7型に感染することで発症するウイルス感染症で、39度近くの高熱が突然生じ3~4日続いて解熱した後に、全身に発疹(多くは小さな紅斑)が出現し、2~3日で消失します。くしゃみやせきなどの症状は出ません。高熱時も元気がよいのですが、発疹時は機嫌が悪くなり便が軟らかくなることもあります。発疹には痛みやかゆみはありません。治療は主に対症療法になります。

伝染性紅斑

ヒトパルボウイルスB19による感染で発症するもので、約2週間の潜伏期間後、顔面に強い平手打ち様の紅斑が出現します。そして1~2日後、四肢などに網目状の紅斑を認め、5~7日で色素沈着を残さずに消退します。発熱は通常みられず、あっても微熱程度です。時々、関節痛が見られることもありますが、2~4週で自然に治癒します。治療は、主に対症療法となります。

手足口病

主にコクサッキーA16ウイルスとエンテロウイルス71の感染で発症するウイルス感染症です。2~7日の潜伏期間の後、腹痛、下痢、食欲不振、37度台の発熱などの前駆症状を認め、手足口に特徴的な皮疹が出現します。手のひら、足の裏、指趾の側面、口腔内などに小水疱と紅斑が出現します。乳幼児では、臀部、肘、膝周囲にも紅色丘疹や小水疱を生じることがあります。口腔内の痛みのため、哺乳量や食欲の低下で気づかれることが多いです。約1週間~10日で軽快、治癒し、色素沈着を残さずに皮疹も消退します。治療は対症療法であり、脱水にならないように注意します。症状が軽快すれば周囲への感染力は低くなりますが、2~4週間は糞便中にウイルスの排泄があるとされているため、手洗いなどを念入りに行うことが大切です。

頭髪にシラミが寄生している状態を頭じらみと言い、園児や小学校低学年の児童によく見られます。主な症状としては、頭のかゆみ、湿疹で、髪の毛に多数のシラミの卵がつきます。

頭髪に寄生するアタマジラミは体長2~4mmほどで、髪同士が接触することで寄生するようになります。そのため、毎日入浴して髪を洗っていたとしてもうつることはあります。診察の際、シラミは動きが早いので成虫を見つけるのは困難であるため、アタマジラミの卵を探します。卵は側頭部、後頭部、耳の後ろなどにあることが多く、長卵円形で光沢があり、毛髪に固着して取りにくいのが特徴です。

シラミが確認されれば、除去のためのシラミ駆除薬フェノトリン(スミスリン)シャンプーを使用します。1回目のフェノトリン処置で成虫、幼虫は死滅しますが、卵には効果がないため、シラミを全滅させるためには、卵から孵化した幼虫を殺虫するために3~4日に1回、計4回の処置が必要です。